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ヤハリ実朝ハ魅力的デス

NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」

北条義時が主人公ですが、私は実朝をどのように描くのかばかり気になっていました。

将軍としての評価は芳しくないのでしょうが、人間性は大変惹かれるものがあります。

そのことを教えてくれたのは、太宰治の小説「右大臣実朝」でした。

実朝ロスなんてものがあるのか知りませんが、暗殺されるのを前にして急に寂しくな

り、「右大臣実朝」を読み返してしまいました。

太宰治の描いた実朝は、若くして達観しており、年齢に見合わないほどの落ち着きを感

じさせるのですが、決してニヒルというわけではなく、朗らかで明るい人物として描か

れています。でも、その優雅な佇まいは、田舎者の卑屈さを隠すための道化、見栄であ

ると公暁に語らせます。人間のもつ美醜を実朝に見るあたりが、太宰特有の優れた感性

だと思います。

三谷幸喜さんの脚本は、オーソドックスな実朝だと思いました。優しくて、それゆえ政

治家には向かない、脆弱な実朝。余裕と憂いの交錯するさまを柿澤勇人さんがうまく演

じていたと思います。役者の力量もさることながら、三谷さんの脚本は安定感抜群で安

心して観ていられます。

今回の大河ドラマはとても楽しませていただきました。

残り5話、どうなるのか楽しみです。

 

アカルサハ、ホロビノ姿デアロウカ。人モ家モ、暗イウチハマダ滅亡セヌ。

※「右大臣実朝」を収録